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マーケットレポート

米国雇用統計と今後の金融政策

◆5月の雇用者数増加は2010年以来の低水準

 6月3日に米国労働省が発表した5月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数増加が前月比3万8千人と、市場予想中央値(同16万人、ブルームバーグ調べ)を大幅に下回り2010年9月以来の低水準を記録しました。製造業と建設業で雇用が大きく減少したことに加え、米国通信大手ベライゾン・コミュニケーションズで従業員のストライキが行われた影響により雇用者が約3万5千人押し下げられたことが低水準の雇用増加の理由として挙げられます。

 

米国の非農業部門雇用者数の推移


 これまで市場では、5月18日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で、経済指標次第では6月の利上げが適切となる可能性が示されていたほか、NY連銀のダドリー総裁を始めとする多くの地区連銀総裁が、利上げが適切となる可能性を指摘しており、早期の利上げ観測が高まっていました。
 しかし、今回発表された雇用統計で雇用者数の伸びが低調なものになったことを受け、市場では利上げ観測が大きく後退し、3日のNY市場では一時1米ドル=106円50銭台まで円高米ドル安が進行、米国10年国債利回りは前日の1.80%から1.70%まで低下しました。また、NYダウは一時前日比▲148ドルまで下落しましたが、その後は利上げ観測の後退を背景に取引終了にかけては下落幅を縮小する展開となりました。
 こうした動きを受けて、翌6日の東京市場でも円高・株安が進行し、日経平均は前日比▲189.28円の16,452.95円で午前の取引を終えました。

 

円米ドルと米国10年国債利回りの推移

 

  

◆雇用情勢は依然堅調とみることも可能

 今回の雇用統計で雇用者数の伸びが低調なものに止まった要因としてはストライキのほか、天候に恵まれた2月と3月の伸びの反動に加え、5月半ばには寒波が米国中西部と北東部に降雪や低気温をもたらしたといった悪天候も挙げられます。また、5月の失業率は4.7%と2007年11月以来の水準へ低下し、米国で完全雇用とみなされる5%程度の水準を下回っていることから、昨年から今年にかけて月平均およそ22万人のペースで増加してきたほどの雇用者数の大幅な伸びは、今後は見込みづらいとの指摘もあります。

 

米国の失業率と時間当たり平均賃金伸び率の推移

 

 一方で、1日に公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では、4月から5月中旬にかけて大半の地区において労働市場の引き締まりが拡大したと指摘されたほか、翌2日に民間会社が発表した調査結果によれば5月の民間雇用者数の増加は前月比17万3千人と市場予想並みの水準であったこと、今回労働省が発表した賃金の伸びは引き続き増加基調にあることなどを考えれば、雇用情勢は依然堅調とみることも可能です。

 

  

◆イエレンFRB議長の講演に注目

 イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は5月27日に数ヵ月以内の利上げが適切と発言しましたが、今回の雇用統計を受けてイエレン議長が早期利上げの考えを見直すとの見方が市場で強まりつつあると考えられます。また、6月23日にはEU離脱の是非を問う英国の国民投票を控えていることもあり、14‐15日に開催されるFOMCでの利上げの可能性は著しく後退したとみられます。
 しかし、来月発表される6月の雇用統計で今回の落ち込みが一時的であったことを示す内容となれば、7月のFOMCで利上げが行われる可能性も考えられます。こうしたことから、6日に行われるイエレン議長の講演が大いに注目されます。5月の雇用者数増加の大幅な鈍化が一時的なものかどうか、同議長の判断が示されるようであれば、今後の利上げ動向を巡る市場の見方に大きな影響を与えることが予想されます。

 

 

 

    

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