ホーム > 市場情報を調べる > マーケットレポート > マーケットレポート詳細

マーケットレポート

日本銀行が金融政策の新たな枠組みを導入

 日本銀行は9月20~21日に金融政策決定会合を開催し、金融政策の新たな枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定するとともに、7月会合で事前に通告した政策効果についての総括的な検証を公表しました。
 総括的な検証を巡り様々な憶測が飛び交うなか、エコノミストを対象とした事前調査(ブルームバーグ調べ)では、過半数がマイナス金利幅拡大などこれまで実施されてきた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの金融緩和を予測していたため、新たな枠組みの導入という今回の日本銀行の決定はやや想定外の結果であるといえます。

 

黒田総裁就任後の日本銀行による金融政策の歩み

 

 

◆総括的な検証を踏まえ、新たな枠組みを導入

 今回の総括的な検証は、9月5日の黒田総裁の講演におおむね沿った内容で、①原油価格や消費税率引き上げなど金融政策でコントロールできない要因が、物価安定の目標(2%)の早期実現を阻んだものの、物価の持続的な下落という意味でのデフレデフレーション(Deflation)の略で、物価が継続して下落する状態。では無くなったこと、②マネタリーベースの拡大は先行きの物価上昇期待押し上げに寄与したこと、③マイナス金利の導入などにより金利は国債に限らず全般的に低下し金融環境が一段と緩和的になったこと――などこれまでの金融政策の効果が強調されました。

 その一方で、金融機関の収益構造が短期調達・長期運用であることから、金利全般の過度な低下が金融仲介機能に対する不安感をもたらし経済環境に悪影響を及ぼす可能性などへの言及もみられました。また、我が国の予想物価上昇率が、過去の物価上昇率に左右される側面があることを考慮すれば、現状のままでは予想物価上昇率の引き上げに時間がかかり、先行きの物価上昇期待を一段と押し上げる必要があるとの見解も示されました。
 こうした検証を踏まえ、日本銀行は「長短金利操作」による政策の持続性の確保と金利全般の過度な低下の回避を目指しつつ「オーバーシュート型コミットメント」により先行きの物価上昇期待の引き上げを図る、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したとみられます。

 

 

◆「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とは

 「長短金利操作」は、短期金利と長期金利のそれぞれにある種の目標を導入するものであり、短期金利については従来の枠組みと同様、日本銀行当座預金の一部にマイナス金利(▲0.1%)を適用することで翌日物など短期金利を操作します。一方、長期金利については10年国債金利が現状程度(0%程度)で推移するように買入れを実施するという方針が新たに示されました。現状の国債買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)は維持されるものの”めど”としての位置付けであり、金利情勢に応じて買入れを柔軟に行うことで、金利全般の過度な低下を回避する姿勢であることがうかがえます。
 「オーバーシュート型コミットメント」は、物価安定の目標を安定的に超えるまでマネタリーベースの拡大を約束することであり、一般にフォワードガイダンス(中央銀行が将来の金融政策の方向性を前もって表明すること)の強化と呼ばれているものに該当します。

 

 

◆「量」の柔軟化と「金利」主軸の政策へ移行

 日本銀行は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みでの追加金融緩和の手段として、①短期政策金利の引き下げ、②長期金利操作目標の引き下げ、③資産買入れの拡大、④状況に応じたマネタリーベース拡大ペースの加速――を挙げています。全体としてみると、マネタリーベースの拡大という「量」よりも「金利」をより重視した政策であることがうかがえます。
 従来の枠組みでは「量」を強調するあまり、金融機関の担保需要を考慮すれば日本銀行の国債買入れが数年以内に限界を迎えるとの懸念がありましたが、今回の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」導入により「量」の柔軟化と「金利」主軸の政策へ移行することには、こうした懸念を払拭する狙いがあるとみられます。
 ただし、①日本銀行自身が市場メカニズムに委ねることが望ましいとしている長期金利を目標とすることが可能かどうかにはやや疑問が残ること、②一部の審議委員が指摘するように大規模な資産買入れに伴う日本銀行の財務リスク投資におけるリスクとは「将来の収益の不確実性」を指す。への言及がないこと――など金融政策を巡る課題が完全に解決されていない点には留意が必要です。

 

 

◆次回会合での経済・物価見通しに注目

 日本銀行は総括的な検証と併せて経済・物価の現状と見通しを公表しましたが、7月の展望レポートからの大幅な変更はみられず、景気の緩やかな回復とエネルギー価格の下押し圧力はく落により物価上昇率は徐々に2%に向けて上昇するとの見方を維持しています。しかし、年初来の円高進行に伴う物価押し下げの遅効的効果などを考慮すれば、2%への道のりは依然として遠いと思われます。そのため、次回会合(10月31日~11月1日開催)では経済・物価見通しを現状維持とするのか、あるいは、見通しの下方修正に伴い一段の金融緩和に踏み切るのかが注目されます。

 

 

 

    

「投資信託へのご投資に際しての留意事項」はこちらをご覧ください。

当ページは新光投信が作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは販売用資料のいずれでもありません。当ページは証券投資の参考となる情報の提供を目的とし、投資の勧誘を目的としたものではありません。当ページは信頼できると考えられるデータなどに基づき作成していますが、その内容の正確性・完全性を保証するものではありません。当ページは事前の通知なしに内容を変更することがあります。特定ファンドの購入のお申し込みの際は、販売会社から投資信託説明書(交付目論見書)および契約締結前交付書面など(目論見書補完書面を含む)をあらかじめお受け取りのうえ、詳細をよくお読みいただき、投資に関する最終決定は、ご自身の判断でなさるようお願いします。

 

ページトップへ

PAGETOP